5月3日の対クラウンライター戦(平和台)は有利な展開だったにもかかわらず、先発した藤田とリリーフした佐藤が取ってもらった得点を取り返されて5-7で敗れ、5連敗となった。 大阪に戻った7日からは対日本ハム4連戦が始まった。初戦は金城と高橋直樹が譲らず、8回を終わって0-0の投手戦。9回表に加藤俊夫の2点打が出て惜敗した。6連敗は昭和45(1970)年以来のことだった。高橋は無四球完封。8日のダブルヘッダー第1試合には、ここまで1勝3敗と調子の上がらない山内が先発した。日本ハム先発の佐伯と継いだ(マッシー)村上雅則を3、4、5回に打ち込み4-1で勝利。山内は日本ハムを1点に抑え、完投して2勝目、また打線にも代打、代走がない、選手交代なしの試合だった。第2試合は白星なしの江夏が先発した。初回に先制するものの、2回に早くも逆転され、また「江夏が投げると打てない」を予感させた。ホプキンスの6号などで挙げた3点を守りきって、この年の初完投で初勝利を飾った。これが江夏最後の完投試合となる。翌9日はリリーフエース佐藤が先発。高橋一三との投げ合いで完封する(2-0)。この4連戦、すべて完投という見事さだった。 パリーグは3強3弱の様相で、首位近鉄を同率2位の阪急と南海が1.5ゲームで追い、4位クラウンライターと2位も差は6.5ゲーム開いていた。 そしてホークスはまた近鉄にやられる。10日、藤田が近鉄打線を5安打1点に抑えたが、南海打線は近鉄先発の鈴木啓示にわずか2安打。11日は近鉄井本から8安打を放ちながら1点のみで、近鉄に4安打しか許さなかった星野に報いられず(1-3)。12日になってようやく打線が爆発し、8-2で完勝した。山内はまた完投して3勝目。野村が3打点、藤原、ピアース、柏原は3安打だった。 13日の大阪では、金城が初回に加藤の本塁打で先制されるが、その裏にすぐさま白石から3を奪って逆転し、8回途中から江夏につないで阪急に4-1で破る。しかし、14日はまったく逆の展開。初回先制した2点を先発藤田が守れず、2回に1点、3回に2点を許し、打線は山口の前に4安打と沈黙した(2-3)。3三振、2三振の新井と柏原がブレーキ。翌日は星野、江夏、森口が炎上。稲葉と山田に抑えられた(3-8)。阪急は17安打の猛攻で、なかでも福本は5打数5安打。 この第7節、近鉄はロッテに連敗し(14、16日)、阪急はクラウンライターとの3連戦(10~12日)に負け越してしまう。上位3球団の順位に変わりなし。
(写真=5月8日対日本ハム(大阪)江夏が「最後」の完投で初勝利。9日(同)1塁側スタンドで映画「野球狂の唄」の主題歌「恋のブロックサイン」を歌って踊る「アパッチ」。11日(日生)南海打線を1点に抑えた近鉄井本隆。12日(日生)3打点の野村。14日(大阪)完投した山口高志と迎える上田利治監督。著作権は著作権者に帰属します。)
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