2022年1月24日月曜日

『あぶさん』は大人の物語だった

 昨年末に『あぶさん』からの絵をいくつか使わせていただいていたら、1月17日、水島新司氏の訃報があった。功績についてはここで言うまでもない。お悔みを申し上げるとともに、南海ホークスへの関心を数倍も高めていただいたことにお礼を申し上げたい。 

しかし、彼の代表作のひとつである『あぶさん』について、あの作品は陽の当たらないパ・リーグを舞台として、大酒のみで代打専門の「景浦安武」を題材にしたものであることは語られているものの、「ビッグコミックオリジナル」に連載されていたことからもわかるように、『ドカベン』とは違って、そもそも「大人の物語」であったことを指摘する記事が見当たらないのはなぜだろうかと思う。

記事を執筆する人たちが『あぶさん』を読んだこともなければ、あの時代を実際に経験していないのだろう。小生が読み始めたときはすでに第7巻まで発刊されていたが、これは未成年者が読んではいけないものではないかと思ったりしたのだ。

野村克也の打撃ポーズなどはカルビー・ポテトチップスの野球カードから拝借したようなものがあったことを思い出す。また、ユニフォームの「Hawks」の「H」がどうにもうまく描けていなかったことも多かった。すでに書いたように思うが、『あぶさん』は大人の物語から、景浦安武の結婚後は「サザエさん」となり、その後は「スーパーマン」となってしまった。ここにも、野村解任の影響がはっきりと見える。水島新司による野村南海をもっと経験したかった。

(写真=『あぶさん』から「のんべ鷹」「御堂筋銀杏並木」「麻衣子」「同」) 

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