2008年5月19日月曜日

阪急が前後期完全優勝

じりじり追い上げて首位に立った阪急は、14~17日、そして19日の対近鉄戦(いずれも西宮)に全勝し、前節から8連勝する。14、15日は山口がリリーフでともに自責点0。16日は2回までに近鉄先発の鈴木から4点を奪い、山田が完投で24勝目を挙げる。翌日は2回にジョーンズの36号などで2点を失うが、リリーフした山口がその後得点を許さず、7-2の逆転勝ち。さらに、19日は先発白石を6回から手堅く山田が継投し、5-1と完勝する。

あっという間に阪急に首位をさらわれた南海は、この節を4勝1敗で終わる。14日(大阪)は佐藤が日本ハム相手に完封(7-0)して成績を9勝2敗とし、ビュフォードが3打数3安打3打点と大当たり。15日は藤田が完投で8勝目(4-3)を挙げる。翌日は中山から松原、江夏とつなぎ4-3。17日のこれも対日本ハム戦は、定岡が4回に放った一打による2点を先発山内が守り、そのまま完封して19勝目。19日の対ロッテ戦(仙台)は、またもや村田にしてやられる(4-2)。

ロッテは15~17日の太平洋クラブとの4連戦(仙台)で2勝2敗。

第12節を終わって、首位阪急と2位南海のゲーム差は1.5に広がった。個人成績では首位打者争いがおもしろい。太平洋クラブの吉岡が.3039、2位門田がわずか3毛差で追う展開。3位には.295の藤原がつけていた。また、新人王は8勝の藤田と9勝の古賀(太平洋クラブ)の争い。

残り試合数が少なくなった第13節(21~27日)を、南海は21日(ダブルヘッダー)、22日と仙台で3位ロッテとの3連戦で開始。強行日程で、この節8試合を行う。21日のダブルヘッダーの第2試合こそ八木沢に完投され落としたものの、第1試合は山内が6回まで山崎裕之のソロによる1点に押さえ、その後を佐藤、江夏とつないで2-1で勝利した。山内はこれで20勝に到達した。22日(対ロッテ最終戦)は初回先頭打者の藤原が村田から8号ソロを放ち、藤田が村田に投げ勝って完封(1-0)し、「スミ1」勝ちする。

24日の対近鉄戦(大阪)は、2回に1点を先制し、6回まで佐藤が近鉄打線を0点に抑えるものの、7回に3点、9回に2点を奪われ敗れる。25日の対阪急ダブルヘッダー(大阪)は、山内と山田が先発する。3失策も響いて、山田に25勝目を与えて連敗する。第2試合は、天敵とも言える戸田から3回までに3点を奪い、松原から江夏への継投で阪急打線を完封する。

26日は移動日なしで対日本ハム戦(後楽園)。先発藤田が2-0のリードを守りきれず3-4で敗れる(9勝3敗)。翌27日は中山が日本ハム相手に11-3で完投(12勝10敗)。この節の8戦を4勝4敗と何とか5割で終えたが、この節わずか4試合の阪急は余裕の2勝2敗だった。

28日の平和台……。阪急は足立、太平洋クラブは古賀が先発する。初回に先制したものの、古賀から阪急は追加点が取れない。それどころか6回に土井正博のタイムリーで2点を奪われ逆転を許す。9回表、長池が四球で出塁した後、マルカーノが凡退。しかし、続くウィリアムスが右中間へ3塁打を放ち同点。森本潔に代わって打席に立った高井が初球をレフトへ……。逆転した1点のリードを山口が守った。

そして30日。京都西京極球場での阪急X南海後期12回戦。この試合に勝てば前後期完全優勝が決まる阪急は山田を、一方、南海は松原を先発させる。2回にウィリアムスの15号ソロで阪急が先制するも、南海は5回、柏原の15号でタイに。せっかく同点にしたのもつかの間、阪急はその裏に加藤秀が28号2ランを放ち、7回と8回に追加点を挙げる。ホークスは松原から、藤田、江夏、佐藤と主力投手を繰り出したが5-2で敗れ、目前で阪急の優勝を見ることになった。

阪急が前後期完全優勝を達成したこの年、ホークスは善戦したが、通年の成績は71勝56敗(.559)で阪急とは9ゲームの差がついた。

個人成績で見ると、打撃10傑に全130試合に出場した藤原(2位)と門田(3位)が入った。また藤原の盗塁数は50個。62個だった福本(阪急)がいなければ楽々と盗塁王になっていた。ちなみにセリーグの盗塁王は31個の衣笠祥雄(広島)だった。

投手では、佐藤が16セーブで最多セーブ賞を獲得したほか、山内は20勝13敗。藤田が11勝3敗(前期1勝1敗、後期10勝2敗)で新人王に輝いた。また、3人で防御率の2位(藤田=1.98)、3位(佐藤=2.25)、4位(山内=2.28)を占めた。防御率が2点を超えない新人王!6勝12敗と期待通りの活躍ができなかった江夏だったが、9セーブを挙げ、リリーフ転向への流れが見えた。防御率は3点に満たない2.98で、「江夏が投げると打てない南海」を証明している。

チーム全体の打率は、.2585で、前後期ともに最下位に終わった太平洋クラブに3毛及ばず2位。一方、チーム投手成績は、2.91でリーグのトップだった。

ベストナインには野村(捕手=19回目)、藤原(三塁=初)、門田(外野=2回目)が、またダイヤモンドグラブ賞には藤原(三塁=初)が選ばれた。

セリーグとの人気が今ほど拮抗していなかった当時、パリーグの観客動員は悲惨なものだった。年間88万1000人を集めた日本ハムの1試合平均が1万3600人(前年比69%増)。南海ホークスは好成績を反映して前年比29%増だったが、年間の入場者数は55万4000人で、1試合平均では8500人にすぎなかった。セリーグで観客数が最も多かったのは巨人で、年間294万3000人(1試合平均4万5277人)。この1チームだけでパリーグの総入場者数334万4600人の約88%を記録している。

(写真=首位打者を争う太平洋クラブの吉岡悟と門田。9月30日阪急X南海後期第12回戦(西京極):敗戦濃厚な南海(手前「3」は阪急・長池、藤原、桜井、野村、柏原)。同日前後期完全優勝を果たした上田利治監督、その右は山口高志。著作権は著作権者に帰属します。)

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