2008年4月8日火曜日

あぶさん

「オトナ向け」マンガ雑誌「ビッグコミック・オリジナル」(小学館)に連載の「あぶさん」を知ったのは昭和51(1976)年だった。

「野球は南海」の気持ちは、前年シーズンオフの「ある出来事」で固まっていた。「あぶさん」には、実在のチームや選手が登場し、「男どアホウ甲子園」や「野球狂の詩」と同じく、どの球場の絵も詳細まで本物だった。(ただ、ホーム用ユニフォームに使われていた独特の書体の「Hawks」を描くことには苦労が見え、うまく描けているのは少ない。)当時、すでに単行本は第8巻まで発売されていた。「オトナのマンガ」を買うのには少々勇気が必要だったが、全巻揃えるようになった。

主人公の「景浦安武」は高校生時代、夏の甲子園予選でホームランを打って3塁を回ったところでヘルメットに嘔吐。飲酒がばれる。高校卒業後に酒浸りの彼を「岩田鉄五郎」が救い、南海ホークス入団が決まる。バットのグリップに「あたりめ」を巻いて打席に入るなど、破天荒な人物だった。若い頃のあぶさんは、ミナミのキャバレーにも通っていたし、「大虎」のひとり娘サチ子とは別にガールフレンドもいた。

ある雑誌で、作者の水島新司氏が「あぶさんとサチ子を神宮球場で結婚させて連載を終わらせる」計画を明かしていたと記憶している。ただ、この計画は変更される。南海ホークスを大きく揺るがせた昭和52(1977)年9月に起こった「もうひとつの出来事」もその理由だったのではないかと思う。

破天荒で毒のあるあぶさんも、年齢を重ねるにつれてチームの先輩格となり、その荒々しさが失われていった。特に結婚後は野球マンガから無害な家族マンガに変質し、「主人公が野球選手の『サザエさん』」になってしまった。

(写真=昭和50(1975)年の主力選手サイン色紙。大阪球場と言えば道頓堀のサウナ「ニュールビア」招待券が当たるラッキーカード!その他ラッキーカード2種(年代不明)。南海ホークス子供の会の特典「みさき公園さやま遊園」の招待券。「野球大会」と「サイン会」の案内状。ファン感謝デーの案内状。スタンドから見たファン感謝デーの様子。昭和51(1976)年年賀状(差出人は「南海ホークス子供の会会長 野村克也」。そして江本に島野のサインも……)、同年の主力選手サイン色紙。「安眠枕マグピロー」(ノムラさんは使ってるかな?)。著作権は著作権者に帰属します。)

0 件のコメント: